ユートピア作品としての風の谷のナウシカ
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今週のお題「人生に影響を与えた1冊」
ワイド判 風の谷のナウシカ 全7巻函入りセット 「トルメキア戦役バージョン」 (アニメージュ・コミックス・ワイド版)
- 作者: 宮崎駿
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2003/10/31
- メディア: 大型本
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自分の人生に影響を与えた1冊です。
映画とはまったく違います。
この物語の中で示される生命観、宇宙感は、映画版のような「自然を大事にしましょう」というものではなく、殺し殺され、食い食われる中にこそ命の本質があり、死を繰り返すことこそが生きるということだ、というものになっています。
ネタバレになるのですが、ラスト、ナウシカは、来るべき世界が浄化されたあとの時代のために残された、“やさしくおだやかな人類”の卵を破壊してしまいます。それは、おそらく映画版ナウシカで示されているような「自然を大事にしましょう」というメッセージを体現したような、自然と調和し、ほかの生命や動物とのバランスを壊さないように配慮しながら人間同士でのいさかいを起こすことなく平和に暮らせる人類なのでしょう。
そういう“調和した美しい世界”“ユートピア”を否定して、人間同士、そして人間とほかの生き物が殺し合い、奪い合い、生まれて死んでいく世界で生きろ!という、ほかの作品にはない世界観があります。
伊藤計画のハーモニーなど、ディストピア、来るべき世界の絶望を描き、その中で人間らしさとは何かを問うた作品はたくさんありますが、このナウシカのような、絶望しかない世界での人間らしさを描いた作品を僕はほかに知りません。
映画版しか見たことのない、という人にもぜひ見てほしい作品です。
- 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
- 発売日: 2010/07/14
- メディア: Blu-ray
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