Chikirinの日記:通勤手当なんて廃止すべき/について、自分の頭で考えてみた。
「通勤ラッシュをなんとかする」っていう方向で、みんなが考えるべきなんじゃないの? とも思う。
みんなって誰だって?
政府であり、企業であり、鉄道会社です。そしてもちろん、ひとりひとりの個人です。★★★
まずは通勤手当を止めたらどうなるか。Bさんの会社が、通勤手当の2万円を給与として払えば、Bさんは間違いなく、もっと近くに住もうと考えます。
会社の負担額も Bさんの生活費の総額も全く変わらないのに、Bさんの通勤時間は短くなるんです。
これは、社員を遠くに住ませるための通勤手当という制度を廃止すれば、全員が得するってことを意味します。会社だって、社員が朝から過酷なアルバイトで一仕事終えてから出勤してくるなんて、望んでるわけじゃないでしょ。
厳密に言えば税額が異なるとか細かい話はあるけど、税制なんてしょっちゅう変わってるんだから、そっちを変更したらいいじゃん。「税額が違うから、通勤手当を給与に振り替えるのは無理!」とかいう(屁)理屈をいう人って、
- 問題を問題だと認識する能力が欠如してる
- 問題を解決できない理由を列挙するのが、大好きかつ得意である
- つらいことを我慢するのも趣味である
- お上が決めたことは、絶対に変更すべきでないと思ってる
のどれかだと思う。
都心に安い住宅が少ないとかいうのも、ニワトリ卵な話です。渋谷のベンチャーに勤める若い人たちが渋谷周辺に住もうと考えるから、その周辺に単身者用の賃貸住宅が増える。
都心なんて高層化すれば、いくらでも床面積は増やせるんです。東京の都心部なんて低層住宅の建設は規制して、早々にマンハッタンと同じくらいの高層化率を実現すべき。
あと良く聞く反論は「単身の人にしか、近くに住むのは無理」って意見なんだけど、コレも全く理解できません。
なんで夫婦共働きだと、単身者にできることができないの? ふたりで家賃を負担すれば、ひとりで部屋を借りるより、ひとりあたりの家賃は確実に低くなるのでは? ふたりで遠いとこから通勤なんてしたら、二人分あわせて倍の時間が無駄になってるわけだし。
それに、子育て中の共働き夫婦こそ、時間がものすごく貴重なんじゃないの? 家賃が割高でも会社の近くに住むのは、「お金より時間が貴重」って人にこそ合ってるスタイルなんだから、ほんとは単身者より子育て世代の方がメリットは大きいと思うけどね。
というようなことなんだけれども。
文章の大半が、実際に通勤してる人への煽りなので、そこらへんは無視するとしたら、要は
「通勤せずに都心に全員住んだほうが低コストなんじゃないの?」
っていう話。
でも根本的にこの話逆なんじゃない?
なぜ、昭和50年代から徐々に、仕事場の近くに(通勤30分圏内)くらいに住んでいたのが、どんどん都内に人が増えていって郊外へ人が移住し、都市へスプロールしていったのかを考えていない。
経済学的に考えると、人は合理的に行動するので、通勤しながら家を遠くに構えるほうが、合理的だって考えて、そういう風になったわけで。
会社によっては、社宅を完備している会社もある。遠くに通勤するよりも会社の近くに住むほうが経済的なら、そういう会社の社宅は都心に作られるだろうけれども、実際は会社の社宅というものも、会社から遠く離れた郊外に建てられているものが多い。なぜだろう。そういう会社の営繕の人はみんな馬鹿なのかな?
あと、
A) 会社から 2駅の A駅近くに住むと、家賃は 10万円だが、通勤定期代は月 3千円、通勤時間は 15分
B) その駅から 10駅(合計 12駅)離れた B駅近くに住むと、家賃は 8万円になるが、通勤定期代は 1万円、通勤時間は 1時間 5分になる
っていう状況をあげているけれども、実際、そういう状態って現実にあるんだろうか。
現実に近い状況を調べてみた。
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を使って。
賃貸マンション(物件番号:0124865-0001791)の物件詳細【HOME'S】|賃貸住宅[賃貸マンション・アパート]の検索・賃貸情報
品川の3DKの賃貸住宅。(品川駅徒歩10分)
月14万管理費8500円(築33年56平米)
ここから、通勤1時間程度の3DKの物件はというと
賃貸マンション(物件番号:3103201-0017798)の物件詳細【HOME'S】|賃貸住宅[賃貸マンション・アパート]の検索・賃貸情報
東武野田線 塚田駅 3DK 徒歩6分
月6.5万円管理費3000円(築15年53平米)
通勤の費用は
定期代|品川→塚田|乗換案内|ジョルダン
6か月94,780円で月あたり15,796円
差引、148,500-(68,000+15,796)=64704円。月にすると結構な金額だと思う。
あと、これは56平米くらいの大体共働きの夫婦想定だから、家庭もちの家はもう少し広くなって、そうすると、都心と郊外での家賃格差はもっと大きくなる。都心での“広い家”は需要と供給があっていないので、面積の比例以上に家賃が高くなる傾向にある。
みんなが都心に住むように工夫すれば、とちきりん女史はいっているけれども、みんなが都心に住むようになれば、もっと都心の家賃は高くなるはずだ。経済学的に言って。
まとめ
ちきりん女史は、「みんなが自分の頭でちゃんと考えないから、通勤ラッシュで、大変な思いをしている」というように言っているけれども、実際は、みんなが、考えた結果として、郊外に住宅ができたし、通勤の電車網が発達した。ということだと思う。
以上。
- 作者: 矢島隆,家田仁
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↑どのように東京が大きくなっていたのかということを書いた本です。
鉄道網と都市の発展がざっくりとわかると思います。